革の魅力的な世界を知ろう|あなたの手で世界で1つの革へ
動物は、さまざまな環境とその生い立ちにより、まったく同じ個体は存在しません。採れる皮も同じく、質感や触感、色合いなどが一点一点微妙に異なります。それぞれの皮は加工前からすでに世界で1つのものと言ってよいでしょう。そして革製品となり、私たちの使い方やその時間経過によって色艶や風合いが変わっていきます。使うほどに魅力が増す素材は、革ならではの特性です。遠い昔から多くの人々を魅了し続ける「革」の魅力をお伝えします。
革職人の熟練技「発色」
美しく革を染める技術には、革職人の経験値と鋭い感性が必要です。私たちが長く愛用し豊かな経年変化をもたらすことも想定して、革の表面に出る色の出方(発色)にこだわります。動物はそれぞれ個体によって、皮の柔らかさや質感など状態が異なり、その日の天候(湿度や気温)によっても、塗料の配合などのバランスを変えたりして染める時間の微調整を行います。美しい染め上がりには、革職人が積み重ねてきた経験に裏打ちされた、匠の技が光ります。
革の発色は、使えば使うほど刻々と変化していきます。渋みが増し風合いに趣が深まったり、艶が馴染み落ち着いた品がでたりと、時間の経過によるエイジングが、革の最大の魅力です。言い方を変えると、購入時は未完成。革を育て自分だけの色合いに変化し、完成品へと近づけていく。この育てる過程が、革を所有する醍醐味です。
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革の豊かな表情は「シボ」にあり
革の表面をよくみると、表面にたくさんの立体的な凸凹が見えます。この凸凹状のシワを「シボ」と呼びます。このシボは革に元々あるものではなく、加工によってシボをつけていきます。シボが入ったレザーは、定番のなめらかなスムースな革とは一味違い、豊かな表情と手触りで人気があります。
シボの出方は均一ではなく、革の部位によってシボの形状・大きさが変わってきます。大きく分けて3段階あります。
小さく細かいシボ
背中からお尻にかけての筋肉質で可動が少ない部分は、シボも少なめで細かく均一にできます。
中程度で溝が深いシボ
首や肩、動かす領域が多く繊維が大きい箇所は、凸凹の高低差がやや大きくなり深いシボが出ます。
大きく目の粗いシボ
お腹から脚にかけての脂肪が多い箇所は繊維がゆるく、大きくふくらみのあるシボが出やすいです。
部位によって、また個体によってもシボの出方は異なるため、ひとつとして同じものはありません。シボの入った革は、それぞれが「世界でひとつ」です。
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天然皮革にしかない「血筋」
天然の皮革にしかみられないもの、それが「血筋」です。この血筋は、皮膚の下にあった血管の跡が革に残ったものです。まさに天然の証しです。個体によってまた採れる部位によってその出方は異なり、なかには血筋が、葉脈や稲妻のような模様のように表れるものもあります。
製品のデザインによって、加工で血筋を目立たないようにすることもありますが、革本来の表情をそのまま生かし血筋を残した製品もあります。革好きの方のなかには、できるだけ血筋が多く出ているものを好む方もいます。
革本来の個性を楽しむ「トラ目」
「トラ目」(またはトラ)とは、もとの動物が持っていた身体的な特徴が模様になって表れたものです。首や肩などの立体的な個所にはシワやたるみがあります。この箇所の皮を、平面に伸ばしたときにできるシマ模様の染めムラが「トラ目」の縞模様になります。虎の体の模様に似ていることから名付けられました。
トラ目は筋肉の可動領域の大きいショルダー(肩)から採った革によくみられます。シボとおなじく、トラ目も天然の革だからこそ楽しめる、本物の革の魅力です。トラ目は特に欧米で好まれる表情ですが、日本でも認知が進み愛好家が増えています。
生きた証し「バラ傷」
野外で育った動物は、ケンカしたり柵にこすったりして多くの傷があります。これらの傷跡がそのまま革の表面に残ったものを「バラ傷」といいます。野性味を感じるバラ傷は生きた証しであり、人工皮革には決してあらわれない特徴です。
バラ傷は、個体の生育環境によって形も大きさもさまざまです。革全体にランダムに存在しており、美観を損なわない程度に目立たないようにしつつ、革本来の特徴を味わえるように加工されます。革をじっくり見て、この野生ならではの趣を探してみるのも楽しく、愛着が深まります。
まとめ
傷やシワなど、天然の革のならではの魅力を感じて頂けたでしょうか?本物の革は、そのひとつひとつに独自の豊かな表情をもっており、使う人によってさらにその趣が移り変わっていきます。あなたが愛用している革のバッグや小物が、これからまたどんな表情を見せて(魅せて)くれるのか、楽しみにしながらじっくり付き合いを深めていってください。
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