馬革の種類と特徴|革のトリビア
◯ 馬革(ホースレザー)ってどんな革?
馬革は英語で「ホースハイド」や「ホースレザー」と呼ばれます。馬は他に比べて運動量が多い動物です。そのため脂肪分が少なく筋肉質で革は薄くやわらかくできています。一般的に馬革は強度が低いと言われていますが、厚み、鞣し、仕上げ等の条件が同じ状況下であれば、繊維が緻密なため馬革の方が強くなります。なめらかさで独特の風合いから、衣類やバッグなどエイジングを楽しむのに適した革です。
馬革は使う部位や製法によって種類が異なります。それぞれの特徴を説明します。
〇 ホースフロント
馬の首の部分を使った革をホースフロントといいます。比較的若い馬を使うことが多く、キメが細かくしなやかです。その繊細で柔らかい質感をいかして、主にジャケットなどの衣類に使われています。
〇 ホースハイド
大動物の革をハイド(hide)といいますが、ホースハイドは成馬の胴体部分を使った革を指します。やわらかくてしなやかで革の面積が大きいため、ソファーなどのインテリア家具に使われています。
〇 コードバン
農耕馬など大型の馬のお尻からとれる革です。馬革のなかでもっとも強靭な部位(牛革の約3倍の強度)で、一頭から採れる面積は少なく希少価値が高いです。なめらかで艶のある独特な輝きから、「革のダイヤモンド」「キングオブレザー」と呼ばれています。 製法は他の革と違い裏面(床面)を表にして植物性タンニンでなめされた後、じっくり時間をかけてオイルをなじまさせています。しっとりとした触感が特徴で、使うほど革の色や質感の味わいが深まるエイジング(経年変化)が楽しめます。
〇 ホースヌメ
ホースヌメは馬革のなかでも最も人気の高い革です。植物性タンニンでなめした革に、蜜蝋をしっかり塗り込みます。これによって使い込むほど、革にオイルが浸透しホースヌメ独特の色合いの変化が楽しめます。
〇 ポニーレザー
ポニーとは、特定の品種ではなく、成長しても体高が147cm以下の小型の馬の総称です。「ポニーレザー」は馬毛をそのまま生かして使われることが多い素材です。柔らかく手触りがよい毛並みと軽さが特徴です。牛のハラコ(=死産や早産した仔牛の毛つき革)と質感がよく似ています。