革の歴史|人類と皮革の関係
皮革は、人類の歴史と深いつながりを持つ重要な素材の一つです。その「耐久性、汎用性、そして美しさ」から、革は過去から現代まで私たちの文化や生活に欠かせない存在となっています。
本記事では、「革の歴史と人類との関係」について解説をしていきます。革製品の歴史を理解して、愛用している革製品を使い込んでみてください。
革の始まり
革は200万年前の旧石器時代から使用されてきました。はじめは人類が動物の皮を剥ぎ、食事の一部として利用していたと考えられています。
その後、人類は動物の皮を「衣服や仕事道具の材料」として利用し始めました。皮は荒野での体温調節をサポートし、野生動物から身を守るのに役立ちました。
革の加工技術の進化
革の加工技術は、時間とともに進化しました。動物の皮はそのままにしていると硬くなったり腐ったりしてしまいます。最初は、皮を太陽や風に晒すことで乾燥させ、硬化させる方法が一般的でした。
のちに「皮」から「革」にする工程である「鞣し技術」が開発されました。さらに、革の染色や装飾技術も発展し、さまざまな文化で独自のスタイルが生まれました。
あわせて読みたい |
文明と革の関係
革は文化を築くうえで重要な役割を果たしてきました。多くの文化で皮革製品は儀式や祝祭の一環として使用され、また、服飾や装飾品としても広く愛用されました。
古代エジプトでは、革製の巻物を書き物の道具に用いたり、アメリカの西部開拓時代には、カウボーイのイメージに欠かせない革製品が登場しました。
日本では甲冑の作成工程の中に、小紋染めの鹿の鞣し革を張り付ける「弦走韋(つるはしりがわ)」という方法が室町時代末期まで続きました。
現代の革製品
現代においても、革製品は定番かつ人気なアイテムです。高品質の革は、ファッション業界で「バッグ、靴、衣服」などに広く使用されており、その耐久性と上品な美しさから多くの人に愛用されています。
革製品はファッションアイテムだけでなく、「家具、車の内装、アクセサリー」など、さまざまな用途に使用されて私たちの生活の一部となっています。
革製品の生産が環境に与える影響
現代の革産業は、環境負荷を考慮したサスティナブルなものづくりが世界的に求められています。
革製品の生産と利用は、その耐久性と美しさが魅力でありながら、環境への影響が懸念される意見も上がっています。
しかし、環境に配慮した加工を施すことで、食用として必ず発生する皮の廃棄を避け、廃棄に伴うCO2を抑えることにつながります。環境に配慮されたものはどういうものかを理解して、購入するときの参考にしましょう。
サスティナブルな革製品の選び方
革素材は食用の副産物
革は動物の皮から作られます。牛や豚など革製品の元になる動物たちは、育てるうえで大量の水、飼料、土地を消費します。革製品だけのために、消費されていてはサスティナブルとは言えないでしょう。
しかし、多くの革製品は食用として育てられた牛や豚の副産物を加工して、バッグや財布にしています。製品として加工がなされなければ、皮の大量廃棄につながってしまうため、食用を再利用する範囲内であれば、革製品はサスティナブルなものづくりといえます。
合わせて読みたい |
皮から革へ加工の方法
皮から革に加工するための鞣し(なめし)工程では、「天然のベジタブルタンニン鞣し」と「化学薬品を用いたクロム鞣し」の大きく2つの技法に分けられます。
クロム鞣しは、化学薬品を用いて加工を施すため、加工し終わった後の薬品が環境に放出されると水質汚染や生態系への悪影響を引き起こす可能性があります。これらを引き起こさないためには、薬品を無害な状態にできるよう十分な設備を用意する必要があります。
タンニン鞣しは、植物から抽出した成分を用いて皮を鞣す方法です。古くから使われてきた技法で、皮に浸透するまで時間がかかるという手間がありつつ、天然由来のもので環境にも人にも優しい方法です。
鞣し加工の最中でも人体への影響が少なく環境への影響も低いため、サスティナブルな観点で見ると優れた鞣し方法と言えます。
サスティナブルな視点で革製品を選ぶ際は、原材料から鞣し方法まで確認することで、現代に合った革製品を選べるようになります。
おすすめ商品
まとめ
「人類と革の歴史」について紹介していきました。革製品は、過去から現代にいたるまで時代に合った加工が施されて、多くの人に愛用されてきました。
革製品が持つ美しさや耐久性は時代を問わず人々を魅了し、実用的なアイテムとして生活に寄り添っています。
長く愛用できる革製品と共に、より良い時間を過ごしてみてはいかかでしょうか。