革ができるまで|革職人の仕事(後編)「革の染色工程」
動物の原皮の状態からさまざまな工程をかけて「皮」から「革」へと生まれ変わる「ヌメ革」。ここからさらに、革職人たちの熟練した技術によって染色や触感の調整などが行われ、革の魅力が引き出されていきます。革の厚みや手触り、色や風合いなどに、革職人の腕がいかんなく発揮されます。職人たちの熱い仕事ぶりをご覧ください。
前編はこちら
9. シェービングで革の厚みを均一に
ヌメ革を、加工しやすく(製品に応じて)厚みを調整します。 革の肉面側を回転するロール刃で削り、厚さを均一にして行く工程を、シェービングといいます。次の工程や、仕上がりを想定しながらの作業となるため、革職人の高い技術力が必要とされます。 経験でしか習得できない熟練の技です。
10. 再なめしと下地調整
初回のなめし工程とは別のなめし剤を用いて、再度なめします。製品の使用用途に沿って革の特性を与える工程です。 また、製品の仕様に沿った色合いになるように下地を染色していきます。
この下地の染色も、その日の天候・気温、革の状態によって仕上がりが異なってくるため、革職人はそれぞれの革を見極め、薬品の配合を調整します。ここでも革職人の経験とセンス、眼力が問われる重要な工程です。
11. セッティングで整える
セッティングという機械を使い、革を伸ばしながら表面を整えなめらかに成形する工程です。ここでじっくり乾燥させ水分を除くことが重要です。分厚い革は手作業で伸ばしていくこともあります。同時になめし剤や加脂剤を革に浸透させる目的もあります。 基本は風通しの良い場所で自然乾燥させますが、タンナーによっては乾燥機を使用する場合もあります。
12. 味取りで水分量の調整
乾燥させた革の水分量を調節する工程です。 乾燥の具合を見極め、乾きすぎている部分に適度な水分を与え、革の状態や天候に合わせて揉みほぐしやすい状態にします。
13. 革を柔らかくするステーキング
乾燥によって膠着してしまったコラーゲン線維をほぐし、革を柔らかくする工程です。 「バイブレーションステーキングマシン」という機械、またはドラムを使用することで革を揉みほぐしていきます。この作業により、柔軟性や弾力性を与えることができます。
14. 塗装で革に化粧をする
いよいよ仕上げの段階です。銀面に塗料で染色します。 スプレーや、ロールコーターといった機械を用いて塗装します。色付けをすることで、艶も出て耐久性を与えることもできます。 季節やその日の天気、また革の状態(同じ動物でも質感は様々)によって薬品のレシピを微調整します。生産した時期によって色が違うことのないように、一定の発色に仕上げてつくり続けるためには、一朝一夕にはできない積み重ねた高いレベルの経験値が必要です。
◯ まとめ
「皮」から「革」へ、そして製品へ。私たちの手元に届くまで、革は実にたくさんの手間と時間をかけられていることが、お分かりいただけたかと思います。あなたの大切な革製品を手にしたとき、職人たちの熟練の技と秀でたセンス、こだわりの塊など、その革の世界に思いをはせて頂くと、より愛着が深まるかと思います。
前編はこちら
〇 おすすめ商品
【惚れるスタイルと機能】
本革トートバッグ「オンでもオフでも使える」 RT1 |